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マリアは起き上がってキラに抱きついた。
「違うの、私・・
貴方を独り占めに出来ない事が悲しくて、貴方の周りの女の人達にいつも焼きもちを焼いてる自分が惨めで」
キラは驚いてマリアを見つめた。
この娘の心は見えていたつもりでいた。
でも違った・・
ケイが言っていた言葉を思い出した。
(人間は一分間に色々な事を考える・・)
そうなんだ・・僕が見ていたのはこの娘の中のほんの一部分だったんだな・・
マリアはキラの頬に手を当てた。
「でも後悔してる、会えなくなっても結局貴方しか愛せなかったし、貴方だけを愛してた。
私の唄うラブソングはいつも貴方に向けて唄ってた」
急にマリアが可愛らしく思えた。
そして母を思った。
あの人も父を愛したが故のやきもちや憎悪を持て余し、自分を責めていたのかも知れない。
「キラ・・」
マリアの顔が近づいた。
「ダメ」
「どうして?」
「抱きたくなる」
「いい・・」
「いやダメだ、ここで君を抱いたらケイに全て知られる」
「え?ケイ君?」
キラは悪戯っ子のように笑いながらマリアを覗いた。
「あいつ、生きてる人間や起きてる人間の心の中は分からないが、寝てる人や誰かが触った物に残った思念が解るんだ。
もしここで君を抱いたら、キスの数だって君に触れた順番だって全てあいつに解ってしまう、それでも構わない?」
マリアは驚いてキラを見た。
「ケイ君って凄い人だったのね・・」
「おい、そこか?
感心する所」
「え?
だっていつも黙って私の話を聞いてくれたし、私が貴方の事を聞いた時もそれとなく気遣ってくれたわ。
だからそんな力が有るなんて思わなかった」
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