復讐の報酬

7/8
前へ
/109ページ
次へ
ルイからも返信が届いた。 (狩の方はいつもどうりでいいのか?) 《ああいいよ。 ただ追えば良いんだ。 ターゲットは自分で勝手にワナに落ちる。 最後のワナは幸乃が自分で張ると言ってる。 其処から先は僕達は見てるだけだ》 三人からは(OK)の返信のみで通信が切れた。 ケイはそれを確認した後ノートパソコンを閉じる。 大きく深呼吸をした後何事も無かったように店に戻った。 「あっ、お帰り。 今日は誰も来なかったよ」 山崎がすまなそうにケイを見た。 「デートは楽しかったかい? 彼女は帰ったの?」 「有難うございます。 彼女僕の家で店が終わるまで待ってると言うので今日は少し早めに店を閉めます」 そう言いながら山崎の座っていたテーブルから食器を下げた。 「先生、事務所の皆さんにケーキを持っていってください」 ケイは陳列ケースの中から十個ほどケーキを選び箱に詰めて山崎に渡した。 「おっ、有難う。 さしずめ明日の留守番代かな?」 山崎が笑いながら受け取る。 「いえそんな心算じゃないですが、明日もお願いできれば彼女とのデートがゆっくりになります」 そう言って山崎に笑い掛けた。 山崎が帰ると戸締りをして店を閉めた。 閉店時間まで営業しても良かったが地下室に残した幸乃が気がかりだ。 どうせ店を開けていても客は来そうもない。 明日の下準備を済ませて自宅に戻った。 地下室に戻ると幸乃がケイの傍に寄った。 「ダメだよ、もう僕には触れないで」 ケイは幸乃の為に紅茶を入れその前に置いた。 「契約が済んだら成就まで僕に触れてはいけない。 君が消えてしまうからね。 今消えたら二度と生まれ変わる事も出来なくなる。 大丈夫だ、触れなくても君が言いたい事は解る。 成就したら『報酬』と引き換えに『声』は返してあげるよ」 幸乃はケイを見つめる。 「明日は君の記憶が最後に途切れた場所に行ってみよう」 ケイがそう言うと不安そうにしながら頷いた。 「心配ない、もう4・5日なら外にも出られる。 49日を過ぎなければ害は無い」 そう言いながら幸乃の為にソファを倒してベットを作る。 「寒くはない? 本当なら痛みも寒さももう感じないんだが、契約の間は生きた人と同じ感覚が残るから 辛かったら知らせて。 いいね」 幸乃はケイを見つめて頷いた。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加