夜に出逢う

隣人の笑顔

自分がここにいることを気付かれたくないけれど、隣にいるのがどんな人物か気になった。

まだ手しか見えないけど、体を前に出して、しっかり横に見れば…見える。

どうしようか？

見るべきか？

やめておくべきか？

「なあー、きれいに見えるぜ。来てみろよ」

男の声が聞こえて、隣にいるのが一人ではないことが分かる。

男が呼んだのは、きっと彼女だろう。でも、隣も私の部屋と同じワンルームだから、引っ越してきたとしたら、どちらか一人。

彼氏のほうか、彼女のほうか…。

ま、どっちでもいいか。うるさくしなければ、別に誰が住もうと関係ない。

「きれいなのは知っているよ。ここからの景色を見て、ここに決めたのだから」

え？一緒にいるのは、まさか…

聞こえてたもう１つの声も男だった。