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丸い月を湛え、黒い山の裾野に抱かれて横たわる大きな湖。その湖畔の森の奥から、男と女の喘ぎ声が聞こえる。
「あっ! あぅ……! あっ! あっ! あっ! あっ!」
「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
草むらに敷かれたレジャーシートの上で、裸の若い男女が互いの体を貪りあっていた。
足をM字に広げて仰向けに寝転がる女。男は女に覆いかぶさり、メロンのような乳房に舌を這わせながら一心不乱に腰を打ち付ける。その音が、彼らを囲む木々に跳ね返り、木霊する。
「よおおおおおおし、イクぞ! ミカ! うっ!」
「え? もう?」
まだまだ絶頂には足りない女をよそに、男は呻き声をあげながら先に果ててしまった。一物を引き抜くと、白濁液の溜まったコンドームを外す。
「へへ、こんなに出た」
男は膨れたコンドームを女に見せびらかした。コンドームの口を縛ると、草むらめがけて投げ捨てる。
「タクロー、イクの早すぎ~」
女もポケットティッシュで、股間や乳房を拭くと、それを丸めて草むらに投げ捨てた。シートの周りには、それまでに二人が飲み干した酒の空き缶や、食べ散らかしたつまみの袋、そして脱いだ衣服や使用済みのコンドームが散乱している。シロツメグサが生い茂る草むらは、さながら都会のゴミ捨て場のようだった。
「けど、ヤスシよりはうまいべ? あいつ、野郎飲みの時は散々テクニック自慢するけどよ。あいつの相手したオンナたちに聞いたら、みーんな『下手くそ』って言ってたぜ」
男はシートの側に置いてあったコンビニのビニール袋から、タバコとライター、缶チューハイを取り出す。缶チューハイを女に投げて寄越した。
「それってベッドの中で?」
女はジト目で男を睨みながらプルタブを開けた。
「彼氏に内緒で浮気旅行してるお前が言える口かよ?」
男は笑いながらタバコに火をつける。
「確かに!」
キャハハハハ、と下品な笑い声をたてると、女は酒を煽った。
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