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少年
2012年の夏休み。
ある少年がクラスメイトから罰ゲームとして都市伝説「小人のはらわた」の真偽を調べることを命じられ、自宅の自室で撮影用の道具などをリュックに詰めている。
自室にはテレビがあり電源が付いている。
放送中のニュース番組では一人で山に出かけたまま失踪している若い人たちがおり、警察が「小人のはらわた」と関連しているのではないか調査しているというニュースをやっていたが、少年はそのニュースを見ていなかった。
少年は学校でいじめにあっており、今回の罰ゲームというのも少年をいつもいじめている同級生連中から無理やりイカサマカードゲームに誘われ、当然のように負けて、金を持ってくるか罰ゲームを受けるかという選択を迫られた。
少年は仕方無く、罰ゲームを受けることを選んだ。
それが「小人のはらわた」の真偽を調べるというものだった。
少年も2年前の「小人探し」ブームのときはテレビの特番を見ていたが、今はあれから2年経過し、ちらほらと「小人探し」にいく人はいるもののもう流行遅れ感があった。
それに「小人」を撮影できた者がいるとは聞いたことがない。
だが、少年をいじめている連中は「小人のはらわた」の真偽を調べてくるよう言ったが、ちゃんと「小人」の姿を撮影してくるようにとも言った。
実行不可能な罰ゲームをさせ、結局難癖をつけて金を払わせるのが目的だということは少年も薄々感づいていたが、逆らえば殴られたり蹴られたりして痛い思いをする。
少年の身体には暴行を受けた傷跡があったが、少年は家族や学校の教師に言い出せずにいた。
リュックに撮影用の小型ビデオカメラを入れ、果物用ナイフを入れ、食料と着替え、スマートフォン等を入れた後、少年は両親に「友達と一緒に山に三日間のキャンプに行ってくる」と言って、自宅を後にした。
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