第一章
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この喫茶店に来たのは、十年ぶりだろうか。美智子がこの喫茶店にやってきたのは。 初めて来たのも十年前だから、それは珍しくないのだけど、ここに来たのが初めてと感じる程、そこは素敵な場所だった。 「いらっしゃいませ」 店員さんが美智子に向かって声をかけてくる。美智子は、笑って店員さんの方を見ながら、窓越しのあの席へと歩いて行った。 「また、この場所に来てしまったわ」
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