第一章

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 マスターは、美智子に言われるがままに、その曲を流した。しばらくして、曲が自動的に流れていく。その曲は、誰もが耳にしたことのある、ベートーベンのあの曲だった。 「私、この曲聴くたびに思い出すの、あの人のこと」  美智子は、亡くなった旦那さんの話を、マスターに話してくれた。旦那さんは、毎年、暮れの時期に流れるこの曲が大好きで、いつも美智子に、鼻歌を歌って、聴かせてくれたという事だった。
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