ファーストコンタクト

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レオとヤマトが行動を起こす少し前。 アリガチシティに二人のプレイヤーが現れた。 一人は鮮やかな赤い着物を着込んだ女性。所々に蝶の刺繍が施されており、非常に高級感が溢れている。艶やかな光沢を放つ見事な黒髪を腰の辺りまで伸ばしている。腰には一振りの大きく反った片刃の剣…………日本刀を携えている。身長は、一般的な女性キャラクターよりはやや高いだろうか。完成されたその美しさは見る者全てを引き付けずにはいられないだろう。 もう一人は対照的に、青い着物を着込んだ人物。ただ、その仕様は男性用の物である。隣の女性と同じように、長い黒髪を腰まで伸ばしているが、大きく異なるのはその人物が仮面を着けていることだろう。昔話に登場するような鬼を連想させる、角の生えた仮面である。仮面に遮られ、その表情を知ることは叶わないが、唯一覗く事が可能なその瞳は強い意思を感じさせる。 『久しぶりに、戻ってこられましたね』 仮面の人物が、女性に向けて話しかける。 『はい。この日をどれ程に待ち望んだことか』 女性は深く頷き、仮面の人物へと向き直る。 『貴方には感謝していますよ、ミナト。貴女が私(わたくし)の我が儘(わがまま)を聞き入れてくれた事を』 そして仮面の人物…………『ミナト』へと礼をする。 【ミナト】『礼など、不要ですよ? 僕自身、この場へと戻れる事をとても楽しみにしていたのですから』 『フフッ そう言っていただけると、私としても助かります』 女性がミナトに微笑むと同時に、新たな人物が現れる。 全身を黒い鎧に身を包んだ人物だ。その鎧には多くの傷が刻まれており、戦歴の勇者のような印象を受ける その人物は二人の前に立つと、静かに頭を下げる。 礼をしているその動作には一切の無駄を感じさせず、まるで姫君に忠誠を誓う騎士のようである。 決して大げさな表現ではない。 ただ、極めて『自然』に行動しているのだ。
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