ファーストコンタクト

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『準備に手間取りまして、申し訳ありません』 二人よりほんの少しばかり遅れただけだというのに、鎧の人物は謝罪の言葉を述べる。 『いえ、私達もちょうど来たところですよ』 彼女はまるで鎧の人物の心を読んだかのごとく、柔らかく微笑んだ。 【ミナト】『さて、これで揃いましたね』 『はい。ミツルギも、気にしないでください』 【ミツルギ】【…………かしこまりました】 赤い着物の女性の言葉に鎧の人物も静かに姿勢を正し、二人の後に続く。 三人は酒場へと歩いていくーーーー 酒場は相変わらずプレイヤー達で溢れていた。今だシークレットモンスターを討伐しようとする者達で溢れ、それ以外…………純粋に他のクエストを受注したいプレイヤーの妨げになってしまう程だ。 その中で、一人のプレイヤーがその様子を遠巻きに眺めていた。 【ジンジャー】『うわ…………混みすぎでしょ』 ジンジャーである。 今日はクレナイは来ていない。普段はクレナイと共にフリーダムをプレイする事が多いジンジャーだが、今回は別の目的の為にひとりでログインしている。 【ジンジャー】『まぁ、今日は酒場は使わないしね』 流石にこの混み具合では並ぶ気にはならない。目的のクエストを受けられるのが酒場で無かったのはラッキーと言えるだろう。 【ジンジャー】『でも、けっこう早く来ちゃったかな』 待ち合わせにはまだ少しばかり時間がある。 【ジンジャー】『かと言って、クエストを受ける程には余裕は無いし』 さて、どうしたものか………… ジンジャーが考えていると………… 『うわ!キミ可愛いね!』 『暇だったら、俺たちに付き合わない?』 プレイヤーがジンジャーに声をかけてきた。 数は8人。軽装に身を包んだ戦士のような格好をしている。髪の色はそれぞれ異なっているが、その他の特徴はほとんど見分けがつかない。 (…………デフォルトのキャラクターか) ジンジャーは一目で見抜く。
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