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と、まぁ冗談はともかくとして。
周りを見回すと、ジンジャーに絡んでいたと思っていた男達は数人が床に倒れた状態だ。
残りの男達の視線を追って見ると、そこには黒髪の女性。
…………うわ。スゲー美人(*´ω`*)
見事な黒髪に腰に下げた日本刀。アバターがその身にまとう着物は鮮やかな紅い色。あしらわれた蝶の模様が高級感を漂わせている。
少なくとも、転がっている男達とは次元が違う、とでもいうのだろうか。
失礼にならない程度に見てみると、プレイヤーに表示されたネーム名は【アウラ】
…………聞いた事が無い名前だ。
まぁ、自分はまだ決して『強い』方ではないから知らないだけかも知れないが。
そして相手の強さを示すレベル表示はやはり『???』
すなわち明らかに格上であることを暗示させる。
『おや。貴女のお知り合いですか?』
考えていると、女性…………アウラがジンジャーへと話しかけた。
【ジンジャー】『あ、はい。同じギルドのメンバーです』
ジンジャーの返事にアウラは『ふむ……』と頷き、今度は男達の方を見る。
『さて、人も集まって来たようですし、私もこれ以上騒ぎにしたい訳ではありません』
『貴殿方も大人しく去りなさい』
ジンジャーに絡んでいたと思われる男達も、流石に自分達が周りから注目の的であることを自覚したらしい。
『さもなければ』とアウラが言葉を発したとたん、慌てた感じで倒れた男達をかつぎ上げながら酒場から飛び出して行った。
『さて…………』
男達が酒場から出て行ったのを確認したアウラは、続いてジンジャーへと向き直り、『突然にお騒がせ致しました』と頭を下げた。完璧ともとれる見事なお辞儀である。
【ジンジャー】『あ、いえ!助かりました!』
突然の一礼にジンジャーは慌てているようだ。
まぁ……確かに俺もあれだけの美人さんに話しかけられたらキョドるわな。
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