プロローグ

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オンラインゲーム フリーダム。 大手ゲーム起業『ヌイッシン』から配信されたゲームであり、数多存在するオンラインゲームのなかでも類を見ないほどの圧倒的な『不自由度』と狭すぎるマップ。恐ろしいほどの選択の無さが話題を呼んだゲームである。 本来であれば、「名前負け」しているゲームであると叩かれ、すぐにでも配信終了となりそうであるが、サービス開始から長い時間が経過している現在においても、国内においてトップレベルの知名度を誇っている。 それは何故なのか? それにはこのゲームに隠された、ある変わったシステムにあった。 ーーーーフリーダム 草原にてーーーー 青々と茂った広大な草原を颯爽と駆け抜ける影が2つ。 ひとつは、褐色の肌に白い髪型。赤い瞳に大きめの耳飾り。その背中に小さな羽を生やした一見すると、アニメ等に登場する悪魔のような外見をした人物、【レオ】 もうひとつは、短めに刈った黒髪に左目に走る刀傷。筋肉質の肉体。どこかの未来から戻ってきたボディービルダーのような人物、【ヤマト】 フリーダムにおける己の分身となるキャラクター、レオとヤマトを操る二人は恐るべき速さをもって草原を駆け抜けている。 その姿はここがゲームの世界であることを感じさせないほどに生き生きとしている。 これが現実の世界ならば、二人は等の昔に陸上競技の世界記録をいくつも作り上げている事だろう。 ただ、二人は別にスポーツをしていた訳ではない。かと言って、キャラクターの身体能力を試しているわけでもない。 ただ…………『逃げている』のだから。
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