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ゆっくりとしたスピードでしばらく進んだが、通路は延々と続いているようだった。五十メートルほど進んだだろうか、ついに開け放しておいた劇場の方からの明かりも届かなくなってしまった。
「一体どこまで続いてるんだろう。そろそろ引き返すか?」
「いや、もう少しだけ進んでみよう」
レプトスは明らかに戻りたがっていたが、アスターは無視して歩き出した。ちょうどこの前、寮の問題児たちが秘密の抜け道を通り、キャマレイトの外へ夜遊びに出かけていたのがバレて上級生からの指導が入ったばかりだった。この道もその抜け道の一つなのではないだろうか。
その時、一段と強く風が吹いた。その風のせいで炎が消えてしまい、レプトスが大きな叫び声をあげた。
「真っ暗になったくらいでそんな大きな声出すなよ。今つけるから」
「違うよ、今、なんか音がしなかったか!?」
しっ、とレプトスに促され、暗闇の中、耳をすませる。注視する物もなく、ただ目の前に横たわる闇に視線を沿わせる。
「なんだよ、何も聞こえないぞ」
風くらいで怖気づきやがって。
レプトスに舌打ちし、風の吹いた原因を調べるため、呪文を唱えようとしたとき、それは聞こえた。
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