door in the 5th theater

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 ぞわり、全身の毛穴がすべて開くような気味の悪い感覚だった。  いつのまにか心臓の鼓動が速まり、呼吸をすることも忘れていた。  ザーザー、ジジ、ザーザー……  耳障りな雑音、電気的雑音、ノイズだ。 「なんだ?」  暗闇の中でレプトスと顔を見合わせ、咄嗟にジーパンのポケットに手を突っ込む。 「これだよ!」  出したのはラジオだ。いつのまにかスイッチが入ってしまっていたらしく、電源ボタンが赤く点滅していた。 「どうして! ラジオが!」  そのノイズははっきりと、手の中にあるラジオのスピーカーから発せられていた。  混乱とかすかな期待のようなものがない交ぜとなり、濁流のように一気に押し寄せてくるようだった。 「一旦戻ろう」  レプトスの言葉に、アスターも即座に頷いた。立ち去る前に一度だけ、後ろをふり返り、何も見えない暗闇をじっと見つめる。 「だっておかしいじゃないか!」  闇の中を無我夢中で走り、明るい劇場までたどり着いた。扉を閉めるや否や、アスターは叫んだ。 「このラジオは、ゲッツァバーグから持ってきたものなのに! つまり、魔法世界であるここキャマレイトでは電波が入らない、なのにどうして、その入らないはずの電波が入ったんだ!?」
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