sixth sense

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「……どうせいるんだろう、ストーカー女」 「アームスヘッド教授と付き合ってるんですか?」 「出たな」  このとき、たぶん自分史上最高に最悪な顔をしていただろう、とアスターは思った。だが、少し離れた机の下からひょっこり顔を出したデンは、嫌そうな顔をするアスターなどおかまいなしに、当たり前のように隣の席の椅子を引いた。 「出たなって何ですか。わたしも用事があって図書館に来たら、たまたま先輩と教授が何やらいちゃいちゃしてるのを見つけちゃっただけですよ」 「普通に会話してただけだ。妄想を垂れ流すのはやめろ」 「へーえー? まあたしかによく見えなかったし聞こえなかったけどー、人除けと目くらましの魔法使って二人で会話するのが普通なんですかねー」 「ストーカーに休日はないのか?」  アスターが苛立ちを隠さず言うと、デンは無視して机の上の本を手に取った。 「なになに、『キャマレイトの秘密』、シールドについて調べてるんですか?」  アスターは慌てて奪い返そうとした。だが、寸前のところでサッと交わされる。 「シールドって、キャマレイトの町を覆ってる、防護魔法のことですよね」 「……ああ」  ふて腐れたようにしぶしぶ頷く。  今日アスターが貴重な休日を丸々一日使って調べていたのは、キャマレイトのシールドに関する事柄だった。 「『シールドは二つの役割を持つ。一つは防護壁としての役割、もう一つは転送魔法の役割である』。へえー、そうなんだー」 「授業で習ったりしないのか?」 「そういえば別に習ってないですね。シールドってものがあるってことくらい」
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