sixth sense

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 金曜日になった。アスターが5番シアターに入ると、すでにレプトスは到着していた。一番前の座席に足を組んで座っていた。 「スペルマム、ちょっといいか」 「なんだ?」 「扉の中に行く前に、聞いてほしいんだ。――考えたんだ、扉のことについて」  アスターは緊張した面持ちで口を開いた。図書館で調べてわかったことや、デンの言葉の引っ掛かり、そして自分のたてた仮説について話した。レプトスはいつもとは違い、一度も軽口を叩くことなく、真剣に聞いていた。 「まさか、そんなことって……」  全てを話し終えると、レプトスは絶句するように口をあんぐりと開けた。 「それがもし本当だとしたら、国際的な大問題だろ? だって魔法世界と無魂の世界は国交も、人や物の出入りも禁止されていて、そもそも無魂側からしたら存在の有無自体も知られないようにしてるのに。それなのに、世界で一番大きな魔法使いの養成学校が、まさか無魂の世界にあるだなんて、そんな」 「でもラジオが電波を拾ったことはどう説明するんだ?」  初めて扉の向こうに行ったときも、二度目に行ったときも、たしかにラジオはノイズ音を発した。微弱だが、電波はたしかに流れていたのだ。 「もしこの仮説が正しければ、あの扉はシールドの穴ってことになる。誰かが意図的に開けたのかそうでないのかはわからないが」 「そしてその穴の先は魔法世界の外の世界、つまり、無魂の、俺たちの世界があるっていうのか……」  思考の追いついていないレプトスに、アスターは畳み掛けるように言った。 「俺は扉の向こうに行きたい。お前はどうする?」
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