第1章

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翌日ーーー 貴臣は学校から帰宅後 稽古を全て済ませ趣味の盆栽造りに熱中していたのだが‥‥‥ 「ムフフッ‥‥‥さいこうだ‥‥ 君たちすっごくいいアングルで増えてるよ!」 僕が造るのはただの盆栽ではない‥‥ そう 苔のみで出来ている苔盆栽である! 「ギンゴケにヤマゴケにハイゴケ‥‥ なんて優秀な苔たちなんだっ!」 それに比べてうちの執事ときたら‥‥ 真逆だ真逆 シュッシュッ 温室のど真ん中に置かれている苔飼育スペース そこで貴臣は霧吹きで水を吹き掛け、うっとりと見つめる ふわふわで鮮やかな緑! 触るとモコモコ!! あぁ‥‥‥堪らないっ‥‥ しかし 「もっと渋い器の方が、君たちは映えそうだ‥‥」 沢山君たちを増やして 新しく器を用意しないと‥‥ もっと増えてね、 と願いを込めながら見つめる 「‥‥ん?」 貴臣はふと、 苔たちの後ろから何かがやって来る事に気付いた 「なんだ? だれ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥っっ!!!」 顔を上げると真っ黒な何かがいた そして、そいつは僕へ手を伸ばしている 「うわっ!ムグッッ!!!」 出てきたそいつは僕の口を素早く塞ぐ く、くさっ 薬くさっっ!!! 匂いの通り薬を使っているのか 考える暇もなく直ぐに手足が痺れてくる バタバタともがくが、上手く手足に力が入らない そうしている内に、目の前が暗くなった
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