ふくしゅうはたいせつだよ

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見た目は俺よりかなり年下…12,3歳くらいだろうか。 茶色で少しボサボサの髪を風に靡かせている。 え?性別? 男だよ。まぁ目が大きめで女に見えなくもないルックスだな。 …線路に埋まって下半身見えないけれど。 俺の視線に気づいたのか、少年は当たり構わず向けていた笑顔を止めて、こちらに近づいてくる。 …よかった。下半身あったよ。 『お前僕のこと見えてるな? ああ、返事はいい 頷くだけで』 喋ってきただと…!? 幽霊(?)ってこんなにフットワーク軽いんだな。 俺もそこまで人見知りはしないけれど幽霊と気軽に話すレベルまではないな。 ていうかさっきから幽霊って言ってるけれどこれ幽霊なのか? 俺の頷きを見て、少年は続ける。 『実は頼みがあるんだ』 すげえな。 最近の幽霊って初対面の人に頼み事するんだ。 頼み事か…俺の方が頼みたいことあるのにな…そう、復讐とか。 ま、見えているのがバレている以上断ると何されるかわからないか。 再び頷くと、少年は嬉しそうな顔をして 『そのからだ…ちょうだい!!』 俺の方に跳んできた。 「危ねっ」 …思わず避ける。 幸い周りには駅員さんしかいないので、多少は無茶してもいいか。 『くっ… 僕の頼み聞いてくれるんじゃないの?』 「いや、流石に折角手に入れた体を渡すわけにはいかないだろ? 馬鹿なのか?」 俺の言葉に目を見開き驚いた表情をする幽霊。 あ、言っちまった。まあいいか。 『手に入れた…? お兄さん体奪ったの!?』 あれ…? 奪えるから俺襲ったんじゃないのか? 少年の幽霊はかなり驚いているようだ。 もしかしてこいつ…。 「なあ、今さっきのは俺を驚かすためだったんだな?」 『・・・・』 少年は恥ずかしげに頷いた。 やっぱりか。 『それよりさ・・・ 今言ったことは本当なの? 体を奪ったって』 「そんなこと言ってねえよ 俺は生き返ったらしいぞ?」 この反応…悪魔の夢という可能性は少し減ったか。 今は本当に蘇ったのだと信じておこう。 ・・・うん、やっぱ無理。 『・・・・・・・・・・よ、蘇った?』 そう言い固まる少年霊。 信じられないだろうな。俺もだよ。
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