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そんなこんなで俺は家に帰ってこれた。
相変わらず俺のベッドの周りには漫画が散乱している。
よかった…血はついてないみたいだな。
というかこの世界線はどうなってるんだ?
俺ら一家の殺人が起こっているなら”家族の存在がなくなった”というおっさんの言葉と矛盾するし…
あ、あれ…?
ということは俺何もしていない相手に復讐しないといけないのか?
「・・・・・・飯にするか」
俺はとりあえず何も考えないことにした。
考えるだけ無駄だろう。
今更だが俺は料理ができる。
母さんにはいつもダラダラした姿しか見せていないから誤解されるが、調理実習ではいつも最高得点を取っていた。
とはいえ…
「あー、冷蔵庫空っぽか……っておかしくね? 母さんが料理の支度していたはずなんだけどな」
ま、いっか…
買いに行こう。
近所の私鉄のホームを通り過ぎる特急を見ながら俺は人知れずため息を吐く。
ようやく夏の暑さが消えてきた10月の始めごろではあるが、今日はまるで真夏のように暑く、周りの女性は総じて露出度が低い。
…と、別に俺はそんな破廉恥なことを考えてため息を吐いていたわけではない。
俺が考えていたことは、俺のこれからについてだ。
いや、それだと語弊があるな。
俺はふたたび特急が通り過ぎた線路の上を見た。
・・・ああ、もう!
なんなんだこれ…
「なんか…見える…」
微妙に透けている人がこちらを向いてにっこりほほ笑んでいた。
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