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「おうっ、いらっしゃい！」
女性の威勢の良い声が聞こえてきた。
彼女がこの「喧嘩屋」で、看板娘となる飛鳥（アスカ）だ。
シャギーの入るショートカットに、「祭」と赤く刺繍された黒の鉢巻きが印象的である。
畳の敷かれた和式の店には、飛鳥があぐらをかいて座っていた。
「お客さんは初めてだね？」
常連はともかく、顧客の顔は覚えているのは看板娘らしい心得を持っているようだ。
何のお店？
「ここは喧嘩を売ったり買ったり出来るお店だよっ！喧嘩上等って書いてあったろ？」
そんなに喧嘩をした事は無かった僕は、興味があって迷い混んだだけだ。
前は派遣会社かなんかが入っている駅からそんなに遠くない場所にある。いつの間にか空テナントになって暫くしたら、書道の達筆な字で「喧嘩上等」などと勇ましい言葉が書かれていたので、興味を持った。
喧嘩が商品なのか？
そうだよ。ネット社会の今は陰湿なイジメだらけだろ？そんなしち面倒な事しなくても、直接殴り合えば良いんだよ！
男が女の腐ったような事をせずに、己の体で語り合えば解るモンだよ！
あンたに恨みのある奴から、喧嘩を仕入れているし、あンたから誰かに喧嘩を売る事も出来んだよ。
おっと、初めてならまずは誰かに喧嘩を売って「喧嘩マネー」を貯めねーとな。
喧嘩マネー？
この店専用の仮想マネーだよ。喧嘩を買うには喧嘩マネーが必要になるから、まずは誰かに喧嘩を売る事だな。
力が無いよ。
んなら、有料になるが「傭兵」を貸し出しているよ。一人では無理かも知れねーが、傭兵が居たらなんとかなるだろ？
任せろよ。この店の傭兵は、いろんな街で札付きのワルとまで云われた凄腕ばかりだよ。
値段に見合った活躍をしてくれるよ！
喧嘩を売れるリストを見ろよ。
見た覚えがあったり、イジメの主犯格や悪い噂のある人間ばかりだよ。こーいう奴は誰かが懲らしめねーと分かんねーんだよ。
こういう奴らがのうのうと生きてて良いわけねーよな。因果おーほー…って言ったかな？
早速、喧嘩を売りたいけど力が無いから傭兵を雇いたい？
えーと。今日は誰が空いてたかなー？
結構厄介な仕事に行ってて、手が足りねーんだよなぁ…
空いてんのわたしだけかよ！？
ちっ、しゃーねーなぁ…
わたしで大丈夫か、だと？
言ったろ。この店の傭兵は凄腕ばかりだよ！
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