第1章

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「まず君は、そういう妙なプライドというか、貴族だから平民より上とかいう考えを捨てた方がいいな。  外国人にしてもそうだ。  やれウォロス人は鬼畜だとか、マルス人は奴隷だとか、そういうのは俺は好かん。  大体昔から、そういう馬鹿な考えが争いごとを生む。  あるいは争いごとがあるからそういう考えをするのかも知れんが」  そこへハルツが珈琲を持ってきた。 「お、ありがとう」  フェイスはそう言って珈琲を受け取り、ファルガにも勧めた。 ゴルチェでは珈琲はまだそれほど普及していないが、ファートン教授が好きで、研究室にも置かれている。 フェイスは牛乳と砂糖を入れて飲む。 「珈琲ですか、珍しい」  ファルガはそう言って、砂糖も牛乳も入れずに珈琲を啜った。 「苦いだろうに、平気なのか」 「慣れると平気です。  たまに、アルアンス珈琲店で飲むので」  最近ロキア市内にできた珈琲店である。 ここ十年程でちらほらできてきた珈琲店の一つで、なかなかの人気だ。 流行りものに興味がないフェイスでも知っていた。 「さて、仕事だな。  君は大学は出ているのかね?」
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