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そう尋ねると、ファルガは少し悲しげな顔で、
「出ていません。
うちは裕福ではなかったので。
駄目ですか」
と答えた。
貴族のくせに大学も出ていないと笑われる。
そんな怯えが見て取れた。
「なに、大したことじゃない。
大学を出てる奴なんて、そんなにいないんだ。
知ってるだろうけど、中等教育令が出たのはほんの四年前だからね。
初等学校だけでも出られたら普通はありがたいのさ」
実際フェイスも、金銭面だけならとても大学など通えない。
現に妹は、初等学校しか出ていない。
フェイスは子供の頃から、品行方正とは縁遠いものの非常な秀才であったから、政府の奨学金で大学へ行けた。
貴族なら大学へ行けるというのは、一昔前、もっと帝国が強かった時代のことであり、そんな時代はもう随分前に終わっていた。
「大学を出ているというのなら、それだけで有り難がる会社もある。
だから念のため訊いたんだ。
だが現実的には、そんな一握りの人だけを雇って回せる会社もない。
まぁこうして来てくれたのも縁だ。
ちゃんと仕事を紹介するから、しばらく待っていてくれ」
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