第1章

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 ファルガはその後しばらくして帰った。  ハルツはその大柄を縮めるようにして珈琲を片付ける。 「仕事、そんなにないんですかね」 「そうだな、戦争とか貴族の贅沢とか金持ちの蓄財とか、そういう何も生まないものに金が回ると、結局全体に金が減る。  経済の根本は、一人当たりの富を大きくして、それが全体にうまく回るようにすることだ。  ところが今のゴルチェは、そうじゃない。  すると、経済が回らない。  それで仕事がない。  そうすると、民衆の技術も育たないから、ますます経済は悪くなる。  単純だが難しい話しさ」  フェイスはパイプを、少し煙そうな顔でふかしながら言った。  数日後、フェイスはファルガに手紙を書いた。  ギオーヌ新聞という地方紙が記者見習いを探しているということで、興味を持つかどうかはわからないが、打診してみることにした。  翌日にはファルガが再び研究室にやってきて、ある程度話をすると、面接に行きたいということだった。  翌週明けに新聞社と約束を取り付ける。 「これがギオーヌ新聞の住所で、社会部にルードというのがいるから、午後一時に訪ねると良い」
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