第1章

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プロローグ  自分とは根本的な部分から違う存在と大きく深い関わりを持たなければならない時というものは生きている限り確実に訪れるだろうし、もし青春とよぶ時期にそれが訪れなければ「ちょっとー、寂しい青春送りすぎじゃない」だとか言われて勝手に劣等感覚えるハメになるのだろう。俺にとっては正直どうでもいいし、それを経験しようがしなかろうが生活するうえで支障なく快適な毎日を過ごせるのだとある種の強がりをしていても、それでも謂われない文句を付けてくる連中は確実に存在する。……いや、関わりとよべるようなモンは根本的に異なる存在だけではなく、同じような多数の存在とも上辺を気にしつつ馴れ合わなければならないらしい。一つの狭い空間に数十人、動物園かってツッコミ入れたくなるくらいに放り込まれ、一年は机を縦に横に並べ共に青春生活を送らなければならないというキマリはハッキリ言って嫌いだ。目上と言わんばかりに偉そうに立つ檀上の絶対的存在はすべてが平等だとおっしゃるが、俺から見れば平等な世界なんぞ皆無、そこには。コミュ力という名の己をゴリ押しする行動力と、己とは根本的に構造が異なる連中との関わりが上手ければ簡単に上位層に立つのだろうし、逆にそれが不可能ならば下の層に叩き落とされる。そして似通った層の人間同士で他人とはよべない深い付き合いをしようと思えど、やはりそう簡単にはいかない。  ――――とまあ、廊下を歩きながらの僻みはこれくらいにしておこうか。  ああ、俺が何を言いたいのかって? 何を見たのかって? ストレートに言ってやるよ、今の僻みはすべて『人間関係』を見て思ったことだ。  今、こうして廊下を歩いてみても、隠れてイチャコラする男女、学園祭の準備を謳歌するクラスメイト集団、楽しそうに第三者の文句を語り合う友達同士……と、様々な関係を拝見した。
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