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「最低だな、神宮寺。生徒の弱みを金に結び付けるなんて」
「創立者はお前だろっ」
俺だって弱い立場に置かれた人間を助けたいって立派な目標持って活動してるんだ。金に執着する部員は篠宮くらいだろ、まったく……。
「あーセンセイ、二組の豊川には注意しといたほうがいいっスよ。放課後、友達の誘い断って一人で帰るケースが最近になって目立つんですよ。俺のレーダーがビンビンに反応してる」
「篠宮がそう言うなら要注意だな、わかった。カネにはがめついけど、人間関係の眼力に関してはズバ抜けてるからな、部長さんは」
「アドバイスのご褒美に、せめて娯楽費として映画のレンタル代だけでも……」
「却下。ハイ、これで話は終わりだな? じゃーね、ばいばーい」
無表情で手を振り流れを切った榊原、やむなく俺と篠宮部長は退散となった。
「娯楽くらい学校側で用意してくれてもいいのにな?」
ぶつぶつと文句を恨みがましく文句を呟く篠宮だが、
「あースマン神宮寺、俺は今から部活会議がある。悪いけど一人で部室行ってくれ。……おっ?」
篠宮はチラリと背後を伺い、
「早速仕事がありそうだぜ。んじゃ、アイツと解決頑張ってくれ」
何を見てそう言うんだ、と思い篠宮同様背後を見てみれば、一人の女子生徒が不安な面持ちで職員室に入ってゆくのが見えた。それはたった今すれ違った女子。垣間見ただけなので、不安な面持ちしか確認できず細かい顔のパーツまでは気を配れなかったが。
「早速仕事って……って、いつの間に」
気が付けば、青春部部長の姿は消えていた。置いてけぼりの部員ナンバー3、神宮寺善慈。
「ふんっ、あの女と解決か。こりゃあ骨が折れそうだ」
第一章 叶えましょう、キミの学園青春ラブコメディ!
1
『アンタは知らなかっただろうけど、あたしはアンタのことをずっと……なっ、何でもない!』
一つボタンを押せば現れた二つの選択肢、『1、何でもないワケないだろ? 2、何でもないならまあいいか』。さて、プレイヤー神宮寺善慈は何を選ぼうか。ツンデレ赤髪ショートの『月詠アカネ』とやら、正直言って彼女の好意なんぞもはや興味ないが。
「……ッチ、ンだコレは?」
つーか……、攻略作業ツマラン。
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