第1章

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 人間関係についてよく思うのは、マジ面倒という感想。ダイヤモンドの中央に立ちチームを全国大会へと導いた実績があろうと、その片手間に勉強して地区内有数の進学校に合格できる頭脳があろうと、神宮寺善慈(じんぐうじぜんじ)という高宗で立派な名があろうと、俺は未だに人間関係の扱いに慣れん。慣れんなら放っておけばいいのかと言われれば、それはぼっち生活を送るという選択肢を選ばない限り無理であって、高校生活という名の『青春』を謳歌しようとすれば日々は自動的に人間関係に満ち溢れてしまうんだな、コレが。んで、人間関係により生じる問題は人を傷つける困りモン。ああ、ウンザリですわ。飽きるくらいに何度もウンザリだ。  少なくとも俺は人間関係についてそう考えるし、厄介なモンだと認識している。  だから。  だからこそ、俺たちが存在するのだ。この高校における人間関係を正すための役割が。    そのために――――俺たち『青春部』は本日も役目を全うする。        ◇  アウェー感満載の忙しい職員室。前方の職員机には超難問を揃えた数学のテキスト、担任会議の資料、料理本等が雑多に置かれている。  目の前の若い女教師は黒に近い茶のロングの髪を弄りつつ、 「部室の移転? ……却下。神宮寺も知ってるように部活は飽和状態だ。空き教室の手配は難しい。それに空調の設置も金銭の問題で無理。映画の調達は自分たち……篠宮が勝手にやってくれ」  雑な文字で簡潔にまとめられた紙きれを、訝しげな表情を交えながらペラっと俺に渡した。左手の人差し指にはめられた指輪が、キラリと大人の象徴を見せつけるように鈍く光る。  ――――榊原(さかきばら)海音(うみね)。数学教師でもあり俺たち青春部の顧問。  上は黒のTシャツ、下はジーンズというラフな格好。首元にはシルバーのネックレス、両手首には洒落た腕輪、両耳にはピアスなど、身体を彩る装飾品は多い一方、 「というか人間関係の相談を受け持つ以外、くつろいでるだけの活動だろ? まったく、贅沢を要求しないでくれ」  女の広告である顔を覆う化粧は薄めで、その端正な顔立ちを溜息混じりで俺に向けてきた数学教師。若さもあってか、大学生にしか見えない外見だ。 「あぁ? 俺に言われても困るんだが。部長の代理で来たんだ、文句は聞きに来てねぇよ」
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