第1章

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いつもなら、買ってきて欲しい本や、食べたい物を言う。真夏なのにイチゴが食べたいとか、真冬にスイカとか。お母さんはちょっとだけ困った顔をして、「明日じゃなくてもいい?」って言うの。でもそこで私はいつも吹き出してしまう。だから結局、お母さんを困らせたい私の『かまって攻撃』は失敗するの。 でもその日は、彼に出会って胸が一杯で、何も思い浮かばなかった私は、気づけばこんな事を言っていた。 「お母さん、お父さんの笑顔がみたい。」 お母さんは一瞬目を丸くして、でも嬉しそうに言った。 「それなら明日に間に合いそうね!写真で良いかしら?それとも連れて来ましょうか?あなたがそんなこと言うなんて、お父さん喜ぶわよ!」
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