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杉田「まあ、訊かなかったのが悪いか」
夕日を眺め、杉田も帰り支度を始めた。
・・・世界はその時を待つ。
5月2日 土曜 希望ヶ原山手 午後7時50分頃
正矢は自転車を走らせる。
正矢「マズイマズイ」
ついつい始めたばかりのゲームに夢中になりすぎ、少し遅くなった。
正矢「時間は大丈夫だと思うが、何があるか分からないからな・・・・・・」
先に進められるのが、一番マズイ・・・正矢は坂道を駆け上がる。
坂の頂上に看板が見えた。旅館「海酉荘(かいゆうそう)」・・・正矢は自転車を置くと、駆け足で入り口へ向かう。
正矢が息を切らしながら入ると、偶々近くにいた年配の男性が彼へ近付く。
男「どうした?坊主」
正矢は顔をあげる。和装をした男性・・・確か風呂の番頭の人だ。彼は息を整えると、体を起こす。
正矢「すぎ・・・京弥君居ます?」
番頭「若ですかい?」
正矢は首肯する。
番頭「居やすよ。・・・若!若!」
近くの控え室らしき場所から和装をした杉田が出てくる。
杉田「わざわざありがとう。栗山さん」
番頭は頭を下げる。杉田は正矢を見て溜め息をつく。
杉田「相も変わらず、ギリギリな奴だ」
正矢「忙しかったんだよ」
杉田「どうせ、ゲームでもしてたのだろう?もう少しまともな言い訳をするんだな」
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