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怯んでいる正矢を見て、杉田は笑う。
杉田「まあ、それを見越して早めの時間を伝えたんだがな」
正矢「え?」
杉田「・・・栗山さん、女将に伝えておいてください。出るのは言ってありますから・・・」
番頭は頭を下げると、何処かへ向かう。
杉田「荷物を取りに行く。外で待ってろ」
杉田は命令口調でそう言うと、奥へと下がる。
正矢は頭を掻きながら、言われたとおりに外へ出た。
正矢は自転車に凭れて待った。数分後、荷物を持った杉田が、自転車を押しながら現れる。
杉田「それでは行くとしよう」
杉田は和装で軽快に自転車に跨がる。しかし、正矢はこれからのことを聞いていない。当然、話についていけない。
正矢「ちょっと待て。ここじゃないのか?」
杉田は出鼻を挫かれ、足を地面につける。
杉田「花阪神社(はなさかじんじゃ)へ向かう。先方はそこだ」
正矢「神社?何をするんだ?こんな夜中に・・・まさか、神様でも降臨させるとか?」
正矢も自転車に乗る。杉田は呆れたように溜め息をつく。
杉田「変わったゲームをやってるんだな」
正矢「何でだよ!」
間違ってないけど・・・正矢はそっぽを向く。
杉田「当たらずしも遠からずだな」
杉田はそう言うと、自転車を走らせる。
正矢「はあ?」
正矢も追い掛けるように、走り出した。
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