第1章

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4月30日 木曜日 某所 深夜  人のいない川辺、黒服スーツに身を包んだ年配の男が佇んでいる。  男は手に持った鞄を地面に置くと、手を広げて空を見上げた。  満点の星に向かって男は目を閉じ、深呼吸を続ける。  男は目を開けて、“想い”を空へ向ける。  男の心に反応するように空の星が落ちた・・・流れ星、それは雨のように降り注ぐ。  今日は流星群をもたらす日でない。こんな素晴らしい景色をたくさんの人が知り得ない。たまたま空を見上げた人か観測する者。  男はその景色のなか、ある一点を見つめた。  男がたくさん流れる流星より、注目する星・・・それは誰も見ようとはしない。・・・小さな輝き。 男「よなきくやは、だんるいてしにみしのたをのるくがみきるいにここわくぼ」  男は宇宙(そら)へ想いを馳せる。
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