第1章

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5月1日 金曜 希原家  朝日が差し込むリビングから歌が聴こえる。 リタ「ララーララッラー・・・」  リタは歌を口ずさみながら、シンクで食器洗いをしている。理人はそんな妻のようすを見ながら、テーブルでコーヒーを飲んでいた。  ガチャ・・・正矢があくびを噛みながら、リビングに入ってくる。頭がモヒカンのように盛り上がっていた。 正矢「おはよお・・・」 リタ「おはよう正ちゃん」  リタは笑いながら応え、理人は頷いた。  正矢は椅子に座ると、違和感を覚える。いつも、何も言わずに朝食が出てくるが、今日は出てこない。・・・随分と贅沢な違和感だ。 正矢「母さん朝飯は?」  正矢がリタを見ると、思い出したように手を叩く。 リタ「ごめんなさい正ちゃん。朝御飯、お弁当に全部積めてしまったの。何か有るもので済ませて・・・」 正矢「またか・・・・・・」  入学して四回目、週一のペースで朝食は昼食に変わる。リタはたまに、夢中になると周りが見えなくなる。 理人「リタらしいな」  ちなみに、昼食が朝食になるような天然ボケも噛ます。  正矢からすれば、世話を焼いてくれているのだから、文句は特にない。  正矢は棚から食器とシリアル、冷蔵庫から牛乳を取りだし、朝食を準備する。
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