揺れる気持ちと秘密のノート

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長かった数学の授業が終わり、休み時間に入った。 声をかけようと思っていたのだが、ひたすら何かを書き続けている山口を見て、私はまた後回しにすることにした。 でも、次の時間も、また次の時間も、山口は何かを書き続けていた。 ようやく手を止めた山口は、その何かをじっと見つめると、その後に大きく伸びをした。 (あ、終わったのかな。) 「やまぐ…」 「夏希。」 私が彼の名前を呼ぼうとしたのと同時に、彼が私を呼んだ。 「あ…、何?」 すると、いつもより少しだけ頬を赤らめ、 「これ…。」 と言いながら、私に一冊のノートを差し出した。 見ると、表紙にはこう書いてあった。 『交換ノート』 『一冊目』 「え…?」 訳の分からない私をよそに、山口は、 「ちゃんと書けよっ」 と言って友達のところへ遊びに行ってしまった。
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