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知らない内におれはあの人といることが
なによりもの癒しに、息抜きになっていた。
「ほんと、笑える」
あんなにも嫌っていたはずなのに。
な。
一歩踏み出す。
靴を履いたまま。
踏み出した。
笑うだろうか。
こんなおれを見たあの人は。
「あんたが望んだ通りになりましたよ」
自嘲する。
あの人は、なぜいなくなったのだろうか?
なーんて。
判るはずもない。
判るわけもない。
考えるだけ無駄だ。
阿呆らしい。
馬鹿馬鹿しい。
「じゃあ、さ」
誰もいない。
おれしかいない、浜辺で呟く。
あの人に問う。
「おれは何をしたらよかったんですか?」
おれは。
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