第2章

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潮風に吹かれ 髪が乱れる。 さらに振り返れば、なお、一層。 懐かしい声に匂い。 海の向こう側から白んできた。 神々しいほどそれはおれを包んでくれる。 優しく穏やかに、振り払うことができないくらい一方的に。 「元気そうでなによりだよ。鏡くん」 驚くおれとは対照に色を失ったおれとは対照に、あの人は、あんたは、嬉しそうにニコニコ厭らしい笑みを向けてくる。 「な、んで。あん、た」 「いやだなぁ」 両手を挙げて、目を閉じ眉を寄せた。 頭部をふりふりと数回振ると片目をまず開けた。 「うん。本当にいやだねぇ。なにも、なにも分かっていないんだね。君は――――本当にちゃんと脳味噌が詰まっているのか解剖したいぐらいだよ」 相変わらずの口調で、相変わらずの言い草で。 また目を閉じるとわざとらしくため息をつく。 やれやれだ。と。 そして両目を開くと斜め上から見下ろすように、あんたは少し頭部の中心をずらした。 「さてさて」
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