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「それで?人間なんかには謁見しねぇって有名な流星の王様が、なんで俺に顔を見せた?
…それこそ、"先代"目的じゃねぇだろ?」
「ふふ…、君みたいな頭の切れる人間、敵対していたら一番厄介で大嫌いなんだけど、ね?
"仲間"だったらすごーく、頼もしい限りなんだけどな?」
その言葉に、ウルフィーの眉がぴくりと動く。それを感じ取ったのか、王はますます笑みをほころばす。
「…どうやらボクら、利害は一致してるみたいじゃないか?」
「ほぉ?」と反応を返す。
「それは、俺たちがあんたらに従えっていうのか?ハッ、主従関係はお断りだな」
「もちろん、対等に付き合おうじゃないか。主従、というより契約的性格が強いかな?
君らがボクらに不利益なことをしようものならその場で契約は破棄だ。あくまで、"利害の一致"ってだけでね?ボクらは別に君らと手を組む必要は無いんだけど、効率は良くなるだろう?」
「なるほどな?それには一理あるだろうな」
「学園の生徒とはいえ、政府直属の学園だし、今までの戦績から見てボクらや君らアオフシュタント単体で奴らと戦うには不利だと断定できる。
…ここまで来て、負けたくはない。それは君たちも同じだろう?」
もうこれ以上の言葉無く、ただ王は静かに笑っていた。ウルフィーなら、これ以降の言葉はくみ取れるだろうという判断だろうか。
少しの間、間が開く。
ウルフィーは一瞬考えるような仕草を見せたが、ふぅっ、と息をつきつつ席を立つ。この場で判断するのはよそう、ということだろう。
「…ふん、まあ、考えておいてやる」
ガタン、と席を立ち、その場を後にしようとしているウルフィーに対し、変わらず、いやそれ以上に満足そうな笑顔を浮かべつつ、
「いいお返事、待ってるからね」
と付け加える。
それ以上の返事をせず、いつしかウルフィーの足音は消え、部屋には静寂が広がった。
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