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「雪(セツ)…父上を甘やかしてはいけないよ。この人のせいで俺らはこんな貧乏暮らしをしているんだから」
キッと鋭く睨まれた父はまた一段と小さくなる。暫くその状態が続き、父が小さく身じろぐ。
そこに欠伸をしながら、そんなに身長は高くないが、体格のがっしりした少年と、その後ろからまだ小さい少年が、入ってきた。
「ふぁあっ、姉上、兄上、お早うございます。あっ、父上も。」
「腹減った~!…姉者、ご飯は?」
小さい少年がぺこりと行儀良く頭を下げたのに対し、大きな少年の方は遠慮がない。どっしりと床に座る。
「飯なら無いぞ。父上が先に食べてしまった」
その言葉を聞いた瞬間、二人の顔が死んだ魚のように色を無くした。成長期の二人はまるでゴミを見るような目を父に向けた。
「もしかして母上の分までその糞の役にも立ちはしない肚の中に納めたとか言うんじゃ無いでしょうね?」
「ふざけんなよ!俺の飯返せ!」
父はそんな言葉を息子二人に投げかけられて、申し訳なさそうにペコリと頭を下げた。
この時の息子三人の心情はきっと同じだったはずだ。
「「「こんの糞親父!」」」
これに尽きる。
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