光風霽月

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尚友本人は先代を全く怨んでいない…どころか、面倒な政治をしなくて済んで喜んでいる。 そして尚友の家族も、(尚友が大食らいで、食料の減りが異様に早いこと以外に)文句を言う者はいなかった。 この少年…風氏直系長子、風霽月(セイゲツ)も口では文句を言いつつ、面倒な宮仕えなどしなくて良いこの生活が気に入っている。 霽月は本来の立場ならば、嫁を取り、政治にも参加し始めている歳なのだが、そんなことを気にしなくてもいい身分に収まっているので、毎日を畑を耕したり、集落の子達と遊んだりして過ごしている。 尚友には負けるが、霽月も大概面倒臭がりなのだ。 それは弟達にも言えることで、今日のように父が自分達のものを全て食い散らかさなければ、何も文句は言わない。 霽月自身、こんな自分達が政治に向いているわけも無いと思っているので、追い出してくれた伯父と祖父に感謝しているくらいだ。 近くに住む百姓達も良い人ばかりで、こうして偶に食料を分け与えてくれる。
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