小さなお隣さん

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「なあ、僕のお家に来なよ」  いっそのことフレンドリーに話しかけてみるが、その者は微かに喉を鳴らすばかりでこちらを見向きもしない。  どうやら決心は固いようだった。  僕はあきらめて、一旦部屋に戻ってから雨合羽と使っていない毛布を一枚持って来て、それを上から被せてやった。顔だけ外を覗けるようにして。  それでも身じろぎ一つしない隣人に別れの挨拶を告げ、そそくさと自室に戻ってすぐに窓を開くと、その真下にはひさしの裏側からちらりと覗く紺色の雨合羽が見えた。  僕は安堵よりも不安が勝る心地のまま、ついに失神するようにして眠りについた。  開けっ放しにしておいた窓がびゅうびゅうと寒かったが、毛布をもう一枚増やしておいたからか、それほど気にならなかった。
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