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花の良い香り、!?!?。
自分の頭が胸板に当たっている。肩に腕を回されながら。
「大丈夫ですか?」
ぱっ、と声の方に向く。
そこには、白い粉を顔中にかぶった、スケキヨみたいな顔があった。
「ぎゃあー!?」
ドン!!ぐはっ!?階段の壁に吹っ飛ぶスケキヨ。
し、しまった!?
「スケっ!じゃなくて!は、大翔(はると)くん!大丈夫!?」
「え・・・!?あ、だ、だいじょうぶです」
よ、よかった。いや、よくはないけど。
「えっと、けがはないですか?」
「わ、わたしは大丈夫!」
「そうですか、よかった」
安心して顔をほこらませる。ドキッとした・・・スケキヨ的な意味ではなく。
周りを見渡すと、無数の花束と花びら、そして私のフェイスパウダーが散らばっていた。これか原因は。
「あの、大翔(はると)くん」
「はい?」
「えっと・・・、助けてくれてありがとう。あと、顔粉まみれにして、ごめんなさい」
「あ~、別に良いですよ」
そう言って笑った。
「そ、そう?でもほんとごめんね」
「いえいえ。・・・・・・あの、名前覚えてくれてたんですね」
「え!?」
「あっ!その、自己紹介の時のこと覚えててくれてたんだなぁ~って」
まあ、それもあるけど。
「・・・実はね」
私はバッグから手紙を取りだす。
「それ!?」
「隣人の山本望(やまもとのぞみ)といいます」
「そうだったんですか!?えっと!!・・・や、山本さん!」
「は、はい!」
「今日は、その、すみませんでした!」
「ううん!私こそごめんなさい!」
2人して恐縮する。
「あの・・・、これからもよろしくね。えっと、はるとくん、で良いかな?」
「は、はい!大丈夫です」
「ありがと。じゃあ私も、名前で呼んでもらおっかな」
「名前ですか!?」
「うん。せっかくお近づきになれたし。だ、だめかな?」
「いや!そ、そんなことないです!えっと、よ、よろしくお願いします。の、のぞみさん」
「うん」私は笑顔で返事をした。
「・・・・・・ぷっ、だ、だめ」
「のぞみさん??」
「いや、その、ぷっ、あはははは!」
緊張の糸がほぐれ、私は、はるとくんのスケキヨ顔に笑ってしまったのだった。
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