第1章

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――マズイ!!マズイマズイマズイ!!このままじゃ祐希が遠くに行っちゃう!! 「ま、待って!!祐希!祐希は何を…」 「『ラット』」 ………へ? 「俺達は、『ラット』…地上に行き場のない、独りぼっちなネズミの群れだよ」 祐希はそう言い残し、フード達と一緒に去っていく。 フード達となにか話しているのか、凄く楽しそうだった。…あんな顔、私だってあんま見たことないのに!! 「待って!!祐希!まっ…」 角を曲がった祐希達を追いかけ…見失う。 嘘!なんで、ありえない!!だっていきなり姿を消すなんて…っ ガタ… 「…アレ?」 足元に違和感を感じ、視線を下げる。そこには、普段は砂利で埋もれている筈の赤茶けた鉄の蓋、 マンホールだ。 『ラットだ』『ネズミの群れだよ』 ……行き当たる、ひとつの可能性。 「……そんなん…追いかけらんないよ…」 私の呟きは、真っ直ぐ下に落ち、赤茶けた蓋に反射して消える。 まるで…祐希と私みたいで…
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