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顔の横を素通りし、そっと耳打ちをしてくる。
「アンタさ…今後、ボスに近寄らないでくれる?目障り。ボスはボクの…皆の希望なんだ。邪魔をしないでくれるとありがたいな」
少女が喋る度に耳に小さな吐息がかかり、くすぐったい…
なんて言っている場合じゃない!!
「………っ!」
左手で少女の肘をはね上げ、拘束を振りほどいて脱出する。少女がつかの間、驚愕の表情をとった。
勢い余って転がりそうになったが、なんとか踏みとどまり…少女にいい放つ!
「ふざけるなっ!!」
よくわからない感情が、胸の内から溢れていた。今日は朝からわけわかんないことばっかだ!!だけど、確かな事がひとつある。
「祐希は私の…岡野澪の弟だ!!アンタらのボスなんかじゃない!!」
「アンタ…澪は、そんな弟の覚悟を踏みにじるんだ?」
心臓が握りつぶされたかと思った。胸が苦しい。息が吐き出せない。
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