第1章

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「姉ちゃんもさ、一緒に来てよ!!俺が姉ちゃんをこの国の女王にしてあげる!」 祐希が、呆然とする私に手を差し伸べる。 先程までは愛らしく感じたその笑顔が、今ではとても歪に見えた。 普通なら、他愛もないイタズラだと思い、乗ってやる所だ。 だが…後ろの数人の男女の雰囲気が、ソレを否定させる。 イタズラじゃない。祐希は……本気で… 「もういいでしょ、ボス。その子は堕ちないよ…目を見ればわかる」 しびれを切らしたのか、背後のフード少女が祐希に呼び掛ける…待って…今、なんて言った? ボス? 祐希が? 「……あーあー…やっぱり駄目かあ!残念っ!!…ま、しょうがないか。じゃね、姉ちゃん♪」 フード少女の言葉に、若干名残惜しそうながらも、差し伸べていた手を下げ、私に背を向けてフード集団に歩き始める。
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