第1章

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 「おはようございます。お嬢様」  アニスは読んでいた本を閉じた。  「おはよう、ジル」  後ろで束ねた長いブロンドの髪、清楚なドレスを着こなしているこの少女が屋敷の主人だ。  アニスはレオンに気付いた。  「珍しいわね」  レオンは朝食に間に合うことがあまりない。まだ眠そうだ。  「うるせーな。おはよう」  三人は長テーブルを囲み席に着いた。  「あれ、じじぃまだ?」  誰がじじぃじゃ、と玄関から白髪頭のゼペルという庭師が中に入ってきた。  ゼペルは席に座った。  「それじゃあ、戴こうかしら」  皆は思い思いにジルが作った食事を食べ始めた。  「うめぇ」  アニスが誇らしげに答えた。  「私の使用人だもの。あなたといい、ゼペルさんといい、私はいい拾い物をしたわ」    
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