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レオンの転移の魔法で二人は王城の前に到着した。
「懐かしい、いい匂いだ」
血と油の匂いがレオンの闘争本能を刺激した。
「変態みたいなこと言ってないで、さっさとやっちゃいなさい」
城の広大な庭では王国兵と賊とが戦っていた。
レオンは戦乱の渦へと飛び込んだ。
鮮やかに舞うように、次の敵、次の敵と切り伏せてゆく。
「あ……気付かれちゃったわ、逃げようかしら」
アニスに気付いた敵が迫ってくる。逃げようとして後ろを振り向いたとき、大きな体にぶつかった。
大男はアニスの腕を掴んだ。その瞬間、大男は悲鳴を上げた。
「アニス……隠れて本でも読んでろよ」
大男に突き刺した剣を抜き、迫る敵に向かって走った。
「アルセレスはあの二人が護衛してるはずだから、多分大丈夫ね。……本でも読んでようかしら」
アニスは花壇の陰に隠れて本を読み始めた。
「随分骨のない奴らだな!全然楽しくねぇ!」
レオンは中庭をもうじき制圧する所だった。
「何者なんだ、あいつは!」
新米の王国兵が言った。その問いに上級兵が答えた。
「彼は竜神レオンだ。四神の一人だ」
新米の兵士はしばらく開いた口が塞がらなかった。
「なぜ助太刀に?」
「女王陛下のご友人に仕えていると聞いている」
まだ合点が合ってないようだったが、賊の最後の一人をレオンが斬った所を見届けた。
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