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レオンと鎧の男は互角だった。互いに斬られている。
剣と剣がぶつかり激しく火花が舞う。距離を取り一気にぶつかる。
「強いな、お前」
どこか余裕のあるレオンに、苛立ちを隠せなかった。
「貴様、なぜ手を抜く。侮辱しているのか」
レオンは頭を掻いた。そして。
「悪かったな。お前みたいな強い奴はそう居ないからな。……謝罪のついでに本気を見せてやるよ」
レオンの体から赤い魔力が炎のように吹き出した。魔力は翼へと変わり、レオンの体は宙に浮いた。
レオンは剣を振った。一筋の赤い光が鎧の男を一閃した。
男は倒れた。
「俺の名はジェルド……我々はリューク様の兵だ。……頼みがある」
レオンは頷き、剣をジェルドの首もとに当てた。
「すまない」
レオンは剣の柄に力を込めた。
ジェルドは負けた。リュークに知られれば殺されるのであろう。どうせ死ぬなら、自分を負かせた相手に。ジェルドの意思をレオンは汲み取った。
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