一日目

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「また、明日」 手を振るその人に軽く頭を下げ、背を向けて茂みへ踏み入れる。 あの人の家は、丘の上なんだろうか。 数メートル下ってから再び振り返ってみれば、既にその人の姿はなく、変わらず木々たちが影を落として揺れている。 空にはうっすらと幾つかの星。こんな所に街頭はない、帰路を急いだのだろう。 俺も、急がないと。 早まっていく気持ちとは裏腹に、踏ん張りのきかない足元のせいで思うように進まない。 明日は絶対にスニーカーでこよう、と固く心に誓って、あの人との明日の会合に思いを馳せた。 今思えばこの時の俺は、初めて会った彼の持つ独特の雰囲気にすっかり魅了されていて。 違和感なんて何一つ、感じ取ることが出来なかった。
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