第 十章 悲しき道化師

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「私が処理しよう……」 突然話しかけられぎょっとして振り返る二人の前に宙に浮く白いケープの麗人がいた。 「メフィスト!」 相変わらず冷徹で無表情な魔界医師は淡々と語る 「アマテラス 宵の明星……イェンシングの件は私に一任してもらう。 幇嶮は宵の明星に任せるとして、ソープ お前は例の男を取り込んで欲しい」 「例の男?」 「クロノスを殺した男だ」 宵の明星の顔色が変わる 「クロノスを殺した? 何の冗談だ? 奴はまた人間の男に成り済まし 人としての借りの人生を歩んでいるのであろう? 何千年と繰返ししてきた様に」 「宵の明星……その通りだ。クロノスの生き甲斐は人間との濃密な交わり。彼奴は人間社会に溶け込んだ時は余程の事で無い限り我々とは接触を絶つ。 アルカンフェル絡みは例外だがな。」 宵の明星 は未だ理解不能の表情を崩さない。 「私もソープから知らされるまでそう思っていた、だが奴は溶け込んだ借りの人生での柵から とある日本人と闘い そして破れ神滅した………」 メフィストの口調にも一種の驚愕が混じっていた。 「あがり……これは事実だ。そして我もクロノスを神滅した男と闘い マンティックスタイルを使用して敗れた。 ま マンティックは全力を出せば地球への影響が多大過ぎる結えに機能の極めて一部しか使用できなかったがな」 宵の明星 は深く呼吸し、目と目の間を指先で摘まみ思考の海に入る。 「つまり、その男は クロノスを殺し ソープのマンティックスタイルを撃ち破り未だ無傷で生きている訳だ……」 「そこだ、奴の戦闘力は経験と人格 気の繰り 全てが究極レベルに達し尚且つ不撓不屈の精神による威圧 それらが見事に融合し恐るべき戦士と為している。だが そのクラスの人間は少ないが歴史上幾人も存在した。」
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