第 十章 悲しき道化師

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老人はソレ以上は語らず <アクアリウムAI=星船の人工知能>に近寄り、色とりどりの水を湛えた円形のへこみに指先を浸した。 《星船の機能を一部限定解除した、これで深層回流と海底プレートを狂わせ 星全体の天候を操り 地震も意図的に起こせるであろう……。 まずは人類にグラビティボルテックス以上の恐怖を与えよ……やり過ぎぬ程度にな。 本番は人類同士が醜く争い殺し合う姿を観る事。》 「こ…こんな簡単にアクアリウムのプロテクトを……」 老人は既にイエンシングに興味を失っていた… 《アマテラス勢力は抑えよう、それと帰還者六名の周辺には絶対に危害を加えるな……奴等は最重要人物達……》 「分かっておる。六名の居場所は把握済みじゃ………が………残る一名は良いのか?」 老人は唇を噛み 忌々しげに言葉を吐き捨て 《奴は京都におる…生地にもグラビティボルテックスを配置してあるがゆえ必ず近くにいるはず…しかし万が一の可能性もある……日本には手をつけるな。 よいな?》 (全ての星船やオーパーツの所在さえ把握できる塔の主が一人の姓名・身体も知れ ペインとやらを植え付けてある人間の正確な居場所が掴めずにいる? そんな不可思議な事があるのか……何者? いや 何ゆえじゃ……?)
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