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既に幼稚園児の子どももいるいい歳の夫婦ものが今さら何やってんだって言われたら言葉もないけど、でも、わたしと野上はほとんど恋人だった時期がなかったので、なんか今もそういう成分が今ひとつ足りないというか。未だに、もっと、もうちょっと、とお互いを求める気持ちが強いっていうか。なんかまだ、飽き足りてないんだよ!てかそれ、ほぼわたしのせいなんだけど。結婚する前から、ちゃんとあいつを受け入れてうんざりするくらいいちゃつかせてやればよかったのかも。そうしたら今頃は、いい塩梅にお互い倦怠してたかも知れないが。
「まぁ…、よくはわからないけど、多分悪かったよ」
歯切れ悪く言う。
「あの、今度からちゃんと窓閉めるようにするからさ」
友明は俯いていた顔を上げ、恨めしそうにわたしを見た。
「窓閉めて、結局またやるつもりなんだ…」
「いや、そんな表現、語弊があるでしょ」
ぼそぼそと反論する。別にやるつもりではないが、結果としてそうなってしまうことがこれからも絶対ないとかは言い切れないし。そういう時は必ず窓は閉めます!ということで、納得して頂けたらいいんですが。駄目ですかやはり。
友明は妙にきっぱりと断言した。
「もう、無理。これからは声聴こえなくても、窓閉めてやってるかも知れないって考えちゃうと思う。想像し出すと止まらないよ」
「あの、想像はしないで…」
本当止めて。
でも実際窓閉めてやってたとしても、なんか言われる筋合いはないんだけどなぁ。マナーとして外部に聴こえなきゃいいんじゃ…。だって結婚してるんだし。
「夜に自分の部屋ですんのはいいわけ?何が違うんだ」
「想像をかきたてる力が違うよ!…あと、すごい正直に言うと、部屋で夜するのも止めて欲しい」
「いやそれは無理でしょ」
あまりの横やりにわたしはのけ反りそうになった。そこまで言う何の権利があるっていうんだ、友明。
「そんなの…、だって結婚する時何とも思わなかったの?結婚すればやるに決まってるじゃん。特に何にも言わなかったのに」
「だってどうせそのうち別れると思ったしさ…。大体お前たち、結婚する前からずっと一緒にずるずる暮らしてたし、もうそこでやってるのはわかってたから。結婚そのものは今さらか~って思っただけだったな」
そうですか。実は一緒に暮らし始めてからかなりの間、わたしと野上は全然やってなかったんだけどね。
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