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巡り合い
「お待たせ!」
「ちょっと、美鳥。遅いわよ」
香澄と美桜は、図書館の入り口にあるベンチに座って本を読んでいた。ほんのりと桜の香りに包まれつつも、花は優雅にそして華やかに咲いていた。ひらりひらり花弁がゆっくり散っている。
「ねえ。美鳥。同じクラスになるといいわね。では神社へ出発。志望大学祈願よ!」香澄がリュックを肩に掛けると笑顔でそう言ったけれど、
「全く香澄は気が早いわね。私達はこれから高校二年生よ」
クスクス笑いながら美桜もリュックを背負った。
「いいじゃない。早くから祈願するに、こしたことないわ。美鳥、そうよね」
「まあね。でもそれだけじゃだめよ。勉強しなきゃ」
「ああ、やだやだ。美鳥は母親みたい。あははははっ……」
彼女達は小野田学園高校へ通う高校一年生。同じクラスの親友同士。
「お隣の神社へ行きましょう。神社はお祭りだわ」
神社は沢山の人で賑わっていた。女子高校生達はお店に目移りしながら歩き、お賽銭箱へ「チャリン」と、小銭を入れた。
「どうか三人共、同じクラスになりますように。それから一年間、
平穏無事でありますように」美鳥は念入りに祈願した。するとどこからともなく声がした。
「戦いが始まるであろう。姫が現れるであろう……」
「えっ、今何か言った?」美鳥は辺りを見回した。
「いや、何もだけど。どうかしたの?」って、隣で祈っていた美桜が
心配した。
「だよね。気のせい気のせい」と、言いつつ美鳥は首を傾げた。彼女はこの年の秋に同じクラスの転校生、獣を宿す男子生徒に絡まれる。そして共に記憶を取り戻しながら別世界で緑国(祖国)を守るために戦っていく。
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