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ゆっくり相手を見ると、水瀬千明が驚きながら私を見ていた。
「千明……くん?」
青ざめながら声をかけると水瀬千明はゆっくり口を開いた。
「なぁ……。お前、本当にあの『小動物』なわけ……?」
「え!?そ、そんなの……っ」
どうしよう、どうしよう!?
早速大ピンチ!?
何て言えばこの場を逃れられるのか。
目を泳がせていると如月勇気が私と水瀬千明の間に入った。
「じ、実は熊ちゃん、イライラすると人格変わっちゃうみたいなんだよねー」
「え?」
「は?」
私と水瀬千明の声が重なる。
如月勇気は私を振り返ると『黙ってて』と目で訴えてきた。
「ほらー、水瀬ちんも俺も1度も熊ちゃんが怒ってるとこ見た事ないじゃん?でも熊ちゃん、いっくんのいじめ現場に前からイライラしてたみたいで、それが今日爆発しちゃったって感じ。だよね?熊ちゃん」
「え!?あー……そう……なんだよねー。えへへー」
ぎこちなく笑いながら頭をかく。
水瀬千明は疑うように私を見つめたあと息をついた。
「そうだよな。ここには男子しかいない。いくら小動物が双子だからって、そんな……」
「千明くん……?」
水瀬千明は私を見ると優しく笑った。
それから私の頭をクシャクシャと撫でた。
「悪いな、小動物」
「う、ううん……」
「てかお前ら、今日『お茶会』の当番俺達だって忘れてただろ」
「お茶会……?」
私が首を傾げると如月勇気が「あ」と言った。
「忘れてた」
「お前らな……。さっさとさっきのクッキーシュー大量に作るぞ」
そう言って水瀬千明が校舎へ歩き出す。
ちょっと待て。
「お茶会って何?」
如月勇気にそう問うと如月勇気は頭をかいた。
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